2019年2月16日土曜日

2018年高校入試の概要

外国からの子どもたちが日本の公立高校を受験する際に、拠り所となる制度がふたつあります。

「入試特別措置」:時間延長、漢字にルビ、辞書の持ち込み、小論文における翻訳、問題用紙の拡大コピー、別室受験、注意事項の母語表記、教科減など、受験する際に受けられる何らかの措置

「特別入学枠」:特定の高校に、外国人生徒や中国帰国生徒を対象とした入学枠があり、特別な試験を受けられる場合の枠をさす。

有志の支援者、研究者による日本各自治体の地域別の制度について調査した結果をウェブで見ることができます。

都道府県立高校における外国人生徒・中国帰国生徒等に対する2018年高校入試の概要

https://www.kikokusha-center.or.jp/shien_joho/shingaku/kokonyushi/other/2017/2017matome%20.pdf

子どもたちが、日本のどの県、どの自治体に住んでいるかで、措置や枠を活用できるかどうかの格差があることがわかります。

外国人生徒、全日制という切り口で見比べただけでも、60地域中、18の地域に入試特別措置はなく、35の地域に特別入学枠がありません。大分県に注目すると、「入試特別措置」はあり、「特別入学枠」はありません。大分でなく、福岡に住んでいたら、熊本に住んでいたら枠があったのに・・・そんな地域格差があるということが、このデータから一目瞭然です。

日本の高校進学率は97%を超えているそうですが、外国からの子どもたちの進学率は60%だともいわれているそうです。

どの年齢で来日したかにもよりますが、学習言語の習得には5~7年かかると言われており、制度上の受験の配慮がなければ、その子の本来の学習能力に合う高校進学の道は非常に厳しくなってしまうことは容易に想像できます。高校進学が人生のすべてを決めるとは思いませんが、人生の大きな岐路であり、その後の将来の選択肢に大きく影響するということは、日本人でも外国からの子どもたちでも変わりません。

この有志の皆さんによる調査結果が、今後の教育環境の向上に繋がる資料となることを願い、紹介いたします。