2018年12月19日水曜日

『こどものにほんご』

今日は小学校での日本語教室でした。小1~小3までの女の子たち4名のクラス。私を見つけると走って飛びついてきてくれます。教室では母語が飛び交い、大笑いしたり、時には張り合ったり、ケンカしたり。「ああ!わかった!」というひらめいたようなきらきらの顔を見るのが楽しみで、教案の隅に「日本語に触れながら、″わかる″ をたくさん感じてもらう」と書いています。

日本語教師をしていると、「何か国語話せるんですか?」と聞かれたりします。日本語教師が、学習者の言語を使って授業していると思われているのかもですが、日本で教えていれば、クラスには当然色々な国からの方たちが混在しているので、そういうわけにはいきません。彼女たちの母語がまったくわからない私は、できるだけ絵教材を駆使しています。

この小学校では『こどものにほんご』と『絵でわかるかんたん漢字80』をメインテキストに使用しています。今日は「(場所)へ行きます」「(乗り物)で行きます」を使った活動。まず、場所や乗り物の絵カードで言葉を確認。パペット人形を地図の上で動かして、「行きます」の意味を伝えます。

文型が理解できたら、どんどん短文を作ってもらいます。Bちゃんが言いました。「わたしはバスでゆめタウンへいきます。」おお!そうそう!いい感じ!

喜ぶ私のとなりであたまを抱えるKちゃんとAちゃん。一生懸命なにかを伝えたくて、窓の先の海を指さし、「水!」。ここからはもう、連想ゲームです。うみたまご?プール?・・・パークプレイス?? そしてやっとAちゃんの言いたい場所がわかりました。「田ノ浦ビーチ」(画像で確認/笑)なんて具体的な・・・でも、ビーチじゃ納得できないんです。「田ノ浦ビーチ」じゃなきゃ。

そしてKちゃんが言いたかった場所は「USJ」大きな手がかりは「船」でした~

こどもたちが例文を作るときは、とてもリアルです。架空の例文は作りたがりません。留学生や成人だったら、さらりと例文を作るところですが、こどもたちはそういうわけにはいかないので、そこが大変で、でも、そこがおもしろいなと思います。




2018年12月7日金曜日

こころが追い付かない

Sちゃんとの出会いは約1年前、日本語サポートを得るためにまずは日本語レベルチェックをということで小学校で会いました。あの時と、今ではまるで別人のように日本語が上手になったSちゃん。学校でも居場所つくり体制ができて、わくわくにも時々来るようになって、よかったって思っていたのに・・・

たくましく適応していっているように見えていたSちゃんのこころは、壊れかけていたこと。いや、もうどうしていいかわからないくらいに壊れていたことに、気づいたのが遅すぎて・・・もう、少なくとも今は日本で暮らしていける状態ではないと。何をするのが正しいのかわかりませんが、今は母国に帰ることしか答えが見つからず・・・

国に帰っても、連絡が取りあえるようにしたいと思います。こころが元気になってまた戻って家族みんな揃って暮らせる日がくるように。

今学期になって・・・3人のこどもたちが国へ帰ります。

あらためて、思います・・・こどもが大人の事情で国と国を行ったり来たりすることに、こころが追いつかない子がいるということ。そんなときおうちの人は言います・・・こどもに「わがままだ」とか「あなたのためなのに」とか「わかって」と。本当に「わがまま」なのは、誰ですか・・・「わかって」あげてと思ってしまいます。

2018年12月2日日曜日

日本語能力試験

日曜日、日本語能力試験が行われました。私は約5年程前からこどもたちの日本語に関わってきたのですが、初めて関わってきた子が受験しました。高校2年生です。

自分から「試験を受けたい」と相談してきたときに、将来のことを考えるようになったんだと嬉しく思いました。まだまだ頼りない彼が、ちゃんと試験を申し込めるのか、試験のための勉強をがんばれるのか、試験会場に行けるのか・・・申し込みもうまくできず、なんとか滑り込み申し込み、当日は忘れ物を取りに帰り電車に乗り遅れたという電話が入り・・・

なんとか試験を受け終えました。迎えに行ったときは笑顔でした。結果はどうかわかりませんが、大きな試験を体験し、少なくとも、この受験を通していろいろなことを感じたことと思います。来春は高校3年生。進路の岐路に立つことでしょう。いろいろな体験や出会いを通して、しっかり考えていってほしいです。