2015年6月30日火曜日

別府市における日本語指導が必要な児童生徒に対する支援の現状と課題

大分県別府市は「日本一の留学生のまち」を名乗っている(朝日新聞 20141119日付)。市独自の調査によると、20135月現在、同市の人口(121551人)に対する留学生居住者(2775人)の比率は2.28%で、全国の市・区でトップである。この要因として、2000年に大分県及び別府市の協力を得て開学し、現在、約80の国・地域からの留学生約2700人が在籍する立命館アジア太平洋大学(以下、APU)の存在が大きい。開学当初は、外国人の急増に対して地域住民に困惑はあったものの、開学10周年を迎えた頃には、APUが地域の国際化・活性化に寄与したなどとして肯定的に評価されるようになった(大分県・別府市 2010)。こうした成果を踏まえて、別府市は更に留学生の受入れ促進に取組むと共に、留学生に対する支援と彼らの積極的な活用を図ることによって、留学生と共存する住みやすいまちづくりを目指したい考えだ(朝日新聞 20141119日付)。
しかし、留学生に関わる行政の取組みが活発化する一方で、外国人児童生徒、その中でもとりわけ日本語指導が必要な児童生徒に対する支援は遅れている。20145月現在、大分県の公立小・中・高等学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は39人となっている(文部科学省 2015)。その約半数は、APUの留学生(大学院生)や外国籍教職員が家族同伴で多く暮らす別府市に在住しているものと見られる。別府市では、APUの開学に合わせて、2000年度に「外国人子女等教育相談員派遣事業」が始まった。この事業では、公立小・中学校に在籍する外国人児童生徒に対して、必要に応じて児童生徒の母語が分かる支援員を派遣し、児童生徒、保護者、教員等の教育相談体制の充実を図っている(総務省 2015)。しかし、日本語指導は、現行制度の下では学校の教育課程に位置づけられていないということもあって、行われていない。
就学あるいは就労する父兄に伴われて来日する外国人児童生徒は、第二言語である日本語を日常的に使うことが多くなることから、生活言語としての日本語は比較的容易に習得していく。他方、教科学習に必要な日本語、つまり学習言語としての日本語の習得となるとなかなか進まないことから、学校で勉強についていくことが困難となる。また、彼らの多くは、第一言語である母語の発達途上にあるにもかかわらず、日本語の使用が急激に増えることから、母語能力を急速に喪失する。最悪の場合、母語も日本語も読み書きが十分にできるレベルにまで発達させることができない。
文部科学省(2013)は、2012年度に、このような児童生徒に対して学校教育の一環として行う日本語指導のあり方について具体的な検討を行った。その結果、児童生徒が学校教育において各教科その他の教育活動に日本語で参加できることを目的として、在籍する学級以外の教室で指導を行う「取り出し指導」を行うことや、指導者に対して指導計画の作成や児童生徒に対する学習評価の実施を求めることを提案した。それを踏まえ、多くの地方自治体が、日本語指導ができる支援員の派遣を含め、外国人児童生徒等に対してきめ細かな支援事業を始めている(文部科学省 2014)。こうした全国的な動きにも関わらず、別府市における支援体制は、児童生徒の母語が分かる教育相談員の派遣に留まっており、しかも、派遣期間は、予算の都合上、転入後96単位時間と限られている。また、児童生徒の母語が英語、中国語、韓国語といった日本では馴染みのある外国語であるならまだしも、それ以外の言語(例えば、イスラム圏の言語)である場合は、その母語が分かる教育相談員を確保すること自体が困難であるという現状もある。

国際化に伴って移動するは大人だけではなく、子どももである。国際化が加速する別府市においては外国人留学生の存在に注目が集まりがちだが、このような子どもたちが不安や問題を抱えながら日々を送っている現状を直視し、地域が一体となって、彼らを地域社会の構成員として支援していく必要がある。彼らが自分に自信と誇りを持って自己実現を図ることができる機会を保障することを追求すると共に、国籍や民族の異なる人々が、互いの文化的相違を認め合い、尊重し合い、そして対等な関係を築きながら、地域社会の構成員として共に生きていくことができるような多文化共生社会の実現に繋がる公的な仕組み作りが求められているのではないだろうか。

【引用文献】

朝日新聞(20141119日付)「別府市、留学生日本一だった! 市独自に算出 人口比、全国自治体で最高」朝刊、p. 30.
大分県・別府市(2010)『大学誘致に伴う波及効果の検証:立命館アジア太平洋大学(APU)開学10周年を迎えて』
総務省(2015)「外国人子女等教育相談員派遣事業(大分県別府市)」『地域の元気創造プラットフォーム公式サイト』http://www.chiikinogennki.soumu.go.jp/jirei/oita/2015-0225-1513-1907.html

文部科学省(2013)『日本語指導が必要な児童生徒に対する指導の在り方について(審議のまとめ)』http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/05/__icsFiles/afieldfile/2013/07/02/1335783_1_1.pd

2015年6月1日月曜日

外国人専用窓口オープン!

外国ルーツのおうちの方だけでなく、学校の方にも朗報!配布プリント類の訳をお願いできますね!
http://www.city.beppu.oita.jp/03gyosei/kokusai/helpdesk/index.html

別府市役所では2015年5月8日より外国人専用窓口を設置します。下記内容のご相談など、お困りの方は英語でアシストしますのでお越し下さい。
We will set up a help desk for foreign residents from May 8th, 2015. The attendant is an English speaker who will assist you on subjects such as:べっぴょん
例えば・・・
  • enrollment to childcare centers (保育所などの入所手続き)
  • applying to support for school expenses  (就学支援制度への申請)
  • completing school related documents  (学校関係の書類などの記入)
  • registration or change of ownership of a motorbike (バイクなどの名義変更)
  • assistance on interpretation of miscellaneous documents in Japanese  (日本語の文章等の英訳お手伝い)
*Please note there may be cases in which we cannot provide our direct services
(直接サービスを提供できない場合もございますので、ご了承下さい。)

We can be of assistance if you visit us during the below period. A reservation in advance is not necessary, but there may be times when you may have to wait your turn when it is busy. Thank you for your understanding on this condition in advance.
下記の時間に来て下さればお手伝いいたします。予約は必要ありませんが、窓口が混雑する場合などは少しお待ちいただくことがあるかもしれませんのでご了承ください。
Open Hours:
Wednesdays & Fridays
毎週水曜日及び金曜日
10:30 AM ~ 5:00 PM
Location:
Beppu City Hall 4th Floor