2019年2月28日木曜日

外国人児童生徒支援リソースルーム













以前にもご紹介したことがあるかもしれませんが、愛知教育大学の外国人児童生徒支援リソースルームにはお役立ち教材がたくさん!

外国からの子どもたち受入れの際に、コンパクトに必要情報を多言語でまとめた冊子をご紹介します。

http://www.resource-room.aichi-edu.ac.jp/

この中の『小学校生活ガイドブック』『中学校生活ガイドブック』は、来日したばかりの親御さんとのコミュニケーションに役立てています。

http://www.resource-room.aichi-edu.ac.jp/resource-roomsakuseikyozai.html

ダウンロードもできますし、送料のみで冊子を送ってもらうこともできます。

児童の母語ができる日本語指導員の方が、学校から配布されるプリントや資料類の翻訳、通訳に時間をとられて、本業である日本語指導の時間が思うように取れないとおっしゃっていました。母語ができるとついつい学校からいろいろお願いされることもあるかと思いますが、既に作られているさまざまなツールや情報を学校や保護者に伝え、活用することができれば、解決できることもあるのではと思います。日本語を学ぶ子どもたちの自立支援が一番の役割かと思いますが、外国からの子たちのサポートについて、学校や保護者もある意味自立支援が必要なのかもしれないと思いました。

とはいえ、実際には日々さまざまなプリントを持ち帰る子どもたち。それを受け取る親御さん、配布する学校の苦労・・・わかります。社交的な親御さんであれば、気軽に聞ける人間関係が築けるかもしれませんが、そう思うようにもいかないのも現実。少なくとも、別府市では翻訳、通訳についてのこれ!という打開策がないですが(文化国際課さんの事業活用はありますが)だれかひとりがどっと無理をする体制では続かないと思います。学校、保護者、支援者、地域、行政どうしが、少しずつ知恵と労力を出し合えたらと思います。

2019年2月22日金曜日

どんな立場でも

外国からのこどもたちや、親御さんとの関わりの中で、嬉しいこともたくさんありますが、いろんな心配事もあります。

例えば、最近の事で言うと、在籍学級でクラスメイトと同じ宿題をもらうべきかどうか、とか、自学するためにクラスでタブレットが使えるといいんじゃないか、とか、お引越しするんだけど校区が変わってしまうので校区外申請してでも今の学校でやっとできた人間関係を大切にしたほうがいいんじゃないか、とか、最近朝ごはん食べてきてないみたいだけど、とか、思春期でおうちの人ともめ事が絶えない、とか・・・

じゃ・・・「誰がこういう心配事を積極的に解決していく道筋を立てるのか?」

担任の先生?
支援の先生?
日本語の先生?
ママ友?
教育委員会?
スクールカウンセラー?
近所の人?

私が思う答えは「その子やその親御さんを心配している人ならだれでもいい」です。

見ていると、「そこまで踏み込む立場じゃないし・・・」とか「それは学校がいうべきことでしょう」とか、なんだかんだ言って、問題がはっきり目の前に見えたとしても、未解決のまま、時間ばかりが過ぎていく・・・

心配している人なら、もしもそれが余計なおせっかいだとしても、誰でもいいじゃないですか?少しでも早いうちに、悲しい悩み事が少ないほうがいいと思うのです。

書きながら、そう自分に言い聞かせています。私自身、「これ、私が言うべき?」と躊躇することが多いので(笑)

いろいろな国の絵本を集めたいです!

先月出会った小1のUちゃん、日本での滞在期間が長くなるにつれ、母語が抜け始めているんじゃないかと担任の先生とお話していました。

担任の先生は、そのことをおうちの方に伝えてくださり、しかも、母語で書かれた絵本をたくさん添えて「おうちで母語で読み聞かせに使ってください」と。

なんてステキな担任の先生、なんてステキなアイディアだろうと思いました!!

最近、低学年の子たち、母語を喪失し始めている子たちとの出会いが立て続いています。母語保持のために、その子の母語がわからない私たちにできることはなんだろうと考えています。

その答えのひとつが「母語の絵本」をきっかけに、おうちでの母語保持の大切さを伝える!ではないかと。

ということで・・・いろいろな国の絵本を集めたいです!お持ちの方、お貸ししていただけませんか。地球っ子わくわく広場に、いろいろな国の絵本が並ぶ本棚ができたらいいな・・・






2019年2月21日木曜日

日本語レベルチェックのススメ

もうすぐ、別府市教育委員会配属の日本語指導員で集まる会があります。今回は、それぞれが担当している子どもたちのレベルチェックの結果を持ち寄ろうという宿題がでています。

主旨はふたつ
① 現在の日本語レベルを複数の人たちで確認、共有し、視覚的にわかる診断結果を、来年度に繋げ、支援が途切れないようにする。

② 学級担任と外部の日本語指導員が会って話をする機会を持つ。

使用するのは「日本語能力チェックシート」
https://www.pref.oita.jp/site/gakkokyoiku/nihongo.html

大分県教育委員会のホームページからダウンロードして使えます。

現在担当している6名の子どもたちの、学級担任の先生と、児童支援の先生と顔を合わせて、この「日本語能力チェックシート」に目を通しながら、該当児童のクラス内での様子などを聞かせていただきました。

取り出しての日本語教室での様子と、在籍クラスでの様子は違うということがお互いにわかったり、在籍クラスでどんなところで日本語の困りがあるのかがわかったり・・・月5時間の取り出しでは、現実、担任の先生とお話する機会はほとんどないので、とても貴重な機会になりました!

大分県ではまだ外部からの日本語指導が入るケースが多いのが現実です。是非、大分県版のチェックシートを活用して、学校との情報共有、連携にお役立てください!

ただし、チェックシートはとても簡易的なもので、詳細な日本語レベルを把握するためには文科省サイトにあるDLAなどの踏み込んだ診断が必要です。DLAを使って診断してみたいけれど、やったことがない、資料が多すぎて難しそうという方は、ご連絡ください!一緒に使ってみましょう。お手伝いいたします。

DLA
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1345413.htm

立山 mkidsiroha@gmail.com



2019年2月19日火曜日

わくわく広場に子鬼たちがやってきた!



今年も、わくわくで節分をしました!小学生たちが企画をしてくれました♪ 節分クイズ「9歳の子がいます!いつく豆を食べますか?」速攻手をあげた9歳のKくん。当てられると、恥ずかしくって小さくなるKくん(笑)
鬼のお面の制作!想定以上の参加者の数に、こどもか留学生限定で鬼のお面を作ってもらうことに。広い会場はかわいい色とりどりの小鬼たちであふれかえりました!

ベトナムからきたPさんから質問「うちの近くのスーパーのそばには、大きな石の鬼がいます。どうしてですか?」
別府には地獄がたくさんあってね、地獄には鬼が住んでいてね、地獄っていってもね・・・と説明し始めて、説明しきれなくなった私(汗)どうして別府には地獄があって、どうして別府には鬼がたくさん住んでいるのでしょう!?



国内学生のYちゃんとCちゃん。いつも子どもたちにやさしく寄り添ってくれるわくわくの天使的存在です。


Kちゃん、Sちゃん、高校入試を終えて、すっきりした気持ちで鬼退治できたね!
春から新1年生と幼稚園に入学するミャンマーのTちゃん、ベトナムのHちゃん。来年から同じ通学路!わくわくで出会えてお友達に。よろしくね。


お箸で豆運び競争!小さな子どもたちも、大人たちも、みんな真剣顔でした!!

「先生、読み聞かせしてもいい?」スリランカのSちゃんと大分から来てくれているMちゃん。選んだ本はオラフのクリスマスと、七夕様。節分じゃないんだね!と思わずつっこんでしまいましたが、そんなこと、こどもには全く問題ではないようで、みんな一生懸命ふたりの読み聞かせに聞き入っていました♡

ああ・・・私はそんなこどもたちの、自由で枠のないところに惹かれてるんだろうなとった瞬間でした!

思いがけず盛大になった今年の節分。みんなのところにたくさんたくさん福がやってきますように。


地球っ子わくわく広場2月3月の予定


3月2日の多文化活動日は、小学生たちによる企画です!おひなまつりのお祝いもしますよ!男の子も女の子も遊びに来てね~


突然の帰国

M小学校での日本語教室。小3のKちゃんが終業式を待たずに帰国することが決まりました。月曜日におうちの方から連絡があり、翌日火曜日が最後の登校日だと。えええ!!!明日で最後!?

外国からの子どもたちは突然やってくることも、突然帰国することもあります・・・

出発するバスのお見送りで渡せるように、日本語教室の子どもたちと先生でカードを書くことにしました。

折り紙が大好きだったKちゃんに、チューリップをたくさん折りました。

1年生のBちゃん、一生懸命、日本語でメッセージを書いていました。

Kちゃんと母語が同じAちゃん、母語で、とても美しい字で書いていました。今までいろいろ教えてくれてありがとうというような内容だそうです。Aちゃんの感謝の気持ちが詰まったメッセージ。

まだ転入したばかりのHくん。「君はすごいよ!本当にすごいよ!国に帰ってからも日本語を忘れないでね」というようなことを書いていました。優しいHくんらしいです。

小2のSちゃん。母語も日本語も、書くのは難しいけれど、Aちゃんに助けてもらいながら、母語でメッセージを書いていました。

明日、このカードを持って、お見送りに行きます。Kちゃんとの突然のお別れ、信じられないけれど・・・

2019年2月18日月曜日

えんぴつくん

年度末ということもあり、アセスメントにご縁のある日々が続いています。今日は小学1年生のKちゃんのところへ。玄関でばったり会ったので、「おはよう!Kちゃん?」初めてきた先生にびっくりしたのか、いやだったのか、どこかへ隠れてしまいました(汗)手の空いている先生たちが集まって、Kちゃん大捜索!雨の中、軒先の下でまあるくなっているところを発見!でも、動きそうにもなく・・・持って来ていた折り紙で折った小さなえんぴつくんにひと肌脱いでもらうことに。「こんにちは!ぼく、えんぴつくん。Kちゃん、一緒にあそぼう・・・」すると、えんぴつくんに向かって、「いいよ!」

そこからは、2時間、楽しい時間が過ごせました。Kちゃんは、とてもこだわりが強いのだそうで、やりたくないことはやらないようですが、わたしが「これむずかしいよ~~~~」「できなくてもいいよ~~~」というと、負けず嫌いなのか、「やる!やる!」と言い、DLAの語彙のチェックから、作文、読解まで、ペロリと?時々集中が切れながらも、やりきったKちゃん。私の下手な中国語のフレーズに笑顔で反応してくれながら。

「わかる」「できる」がたくさんあれば、2時間でも笑顔でがんばれるんだなぁと。DLAの結果、日本語の力で弱いところはたくさんあることがわかりましたが、ポテンシャルの大きさも同時に感じました。伸びるよ!!Kちゃん。「また来週も来ていい?一緒に日本語の勉強しよう」というと、笑顔で「いいよ!」と指切りしてくれました。

教室まで送ると、休み時間、クラスメイトはみなそれぞれに遊んでいて、一歩教室に入ると、Kちゃん、さびしそうな、居づらそうな、そんな表情にも見えました。まだ日本語でなんでも言えるわけではないKちゃん。これからもっと笑顔が増えるよう、できることを考えたい、そう思いました。

来週もまた、えんぴつくんと一緒に来るね!


2019年2月16日土曜日

2018年高校入試の概要

外国からの子どもたちが日本の公立高校を受験する際に、拠り所となる制度がふたつあります。

「入試特別措置」:時間延長、漢字にルビ、辞書の持ち込み、小論文における翻訳、問題用紙の拡大コピー、別室受験、注意事項の母語表記、教科減など、受験する際に受けられる何らかの措置

「特別入学枠」:特定の高校に、外国人生徒や中国帰国生徒を対象とした入学枠があり、特別な試験を受けられる場合の枠をさす。

有志の支援者、研究者による日本各自治体の地域別の制度について調査した結果をウェブで見ることができます。

都道府県立高校における外国人生徒・中国帰国生徒等に対する2018年高校入試の概要

https://www.kikokusha-center.or.jp/shien_joho/shingaku/kokonyushi/other/2017/2017matome%20.pdf

子どもたちが、日本のどの県、どの自治体に住んでいるかで、措置や枠を活用できるかどうかの格差があることがわかります。

外国人生徒、全日制という切り口で見比べただけでも、60地域中、18の地域に入試特別措置はなく、35の地域に特別入学枠がありません。大分県に注目すると、「入試特別措置」はあり、「特別入学枠」はありません。大分でなく、福岡に住んでいたら、熊本に住んでいたら枠があったのに・・・そんな地域格差があるということが、このデータから一目瞭然です。

日本の高校進学率は97%を超えているそうですが、外国からの子どもたちの進学率は60%だともいわれているそうです。

どの年齢で来日したかにもよりますが、学習言語の習得には5~7年かかると言われており、制度上の受験の配慮がなければ、その子の本来の学習能力に合う高校進学の道は非常に厳しくなってしまうことは容易に想像できます。高校進学が人生のすべてを決めるとは思いませんが、人生の大きな岐路であり、その後の将来の選択肢に大きく影響するということは、日本人でも外国からの子どもたちでも変わりません。

この有志の皆さんによる調査結果が、今後の教育環境の向上に繋がる資料となることを願い、紹介いたします。


2019年2月15日金曜日

サクラ・・・

今年度、別府の子どもたちで高校受験する子たちが5名いました。その内、中3で転入してきた子たち2名、しかも日本語ゼロ初級・・・転入を知ったとき、受験に間に合うのか不安でした。結局1名は12月の時点で、高校進学は困難との親御さんの判断で、帰国。

もう1名から、12月の時点で今年度の受験を見送るという親御さんの判断を聞き、もう一度よく考えたほうがよいのではと、話し合いをお願いしました。浪人することのデメリット、1年間独学で日本語や受験勉強を誰とどうするのか、1年後の日本語のレベル、受験可能であろう具体的な高校など・・・いろいろ話し合った結果、今年度の受験に向かうことに。選択肢はかなり限られていましたが、中学校の先生方が懸命に動いてくださり進学先が決まりました。


もう1名は学齢超過で(母国で中学卒業)日本での所属のない状態での受験。いろいろな方たちのサポートのおかげで、無事に進学先が決まりました。
 
しかし、15、16歳で来日した子どもたち、進学の壁はとても高いということを、しみじみと痛感しました・・・

そして、あと2名は小6での来日。ふたりとも、日本語ゼロの頃に出会い、2年間、初期日本語指導に関わり、その心の変化や、さまざまな壁にぶつかったこと、それらを乗り越えて受験を迎えていること・・・それだけに、志望校に合格してほしいと心から願っていました。


ほぼ同時に、合否の連絡がありました。

ひとりは志望校に合格。
ひとりは志望校に不合格。

ふたりとも推薦入試でした。

合格を聞いた時も涙がこみあげてきましたし、不合格を聞いた時も涙がこみあげてきました・・・

不合格だった子は、本当は行きたかった高校まではレベルが届かず、推薦案件で外国にいたことをプラスにできる内容があったからと悩みに悩んで選んだ高校でした。


現実は厳しい・・・

こどもたちの前に立ちはだかる3つの壁・・・
言葉の壁、制度の壁、進学の壁

大分県にも外国人児童生徒の特別枠が1年でも早くできることを願います。

2019年2月10日日曜日

地球っ子わくわく広場勉強会

画像に含まれている可能性があるもの:2人、座ってる(複数の人)、テーブル、室内夏からわくわくで始めた「勉強会」。わくわくがスタートして1年、「多文化理解」の活動が中心だったことがずっと気になっており、「勉強会」を始めてみることに。元々、わくわくが生まれる前は、夏休みと冬休みだけ宿題の会を持っていたので、その「元々」を取り入れた形です。

しかし、スタートしてみると、色々課題が続出・・・気兼ねなく参加できるわくわくの流れがあり、来る予定で親御さんが連れてくこれなくなった子、突然やってくる子、手ぶらでくる子・・・20名ほどきたり、5名しか来なかったり、と、先生とのマッチングも、教材の事前準備も困難!

そこで、自力で通える小3~高1までの7名を対象として、担任制にし、事前に参加やテキストを用意することに。本当は勉強会に来たい子、来てほしい子はもっとたくさんいますが、まずはこの7名と一緒にがんばってみようと。

最初は、集中しやすいように教室型のテーブル配置だったのを、コの字型にし、顔をあげればみんなが見えるように。サポーター役の親御さんの子どもたちが来たときも、同じ輪に入ることに。教室型より、いい雰囲気です!

走りながら、軌道修正しながら・・・わくわく勉強会が子どもたちにとって大切な場所になれるよう、地道に続けたいです。

日本語ボランティアスキルアップ講座のお知らせ

日本語ボランティア スキルアップ講座のお知らせ


おおいた国際交流プラザさんで、毎年恒例の日本語ボランティア講座があります!
詳しくはHPまで
http://www.oitaplaza.jp/japanese/archives/5820


日本語教室で外国人に日本語を教える- 受入れ面接からカリキュラムデザインまで -

日 時:平成31年2月18日(月)13:30~16:30

場 所:iichiko総合文化センター(4F)中会議室2

講 師:別府大学文学部国際言語・文化学科准教授 篠崎大司先生

対象者:地域日本語教育に関心のある未経験者、又は初心者

定 員:50名

参加費:無料

その他:事前申込制

次回、経験者向けを平成31年3月18日(月)開催予定


2019年2月1日金曜日

日本語教育講演会@別府大学

第6回日本語教育講演会「日本語の階層構造を意識した日本語文法教育を考える」別府大学で日本語教育講演会があります!

2月16日(土)14:00~16:00

日本語教育講演会「日本語の階層構造を意識した日本語文法教育を考える」


詳細は別府大学HPまで


https://www.beppu-u.ac.jp/event/2018/12/006722.php