2015年10月25日日曜日

高松市の日本語支援~行政とNGOの協働事業~

学会のために香川大まで足を延ばすということで、高松市の日本語指導が必要な児童生徒への日本語支援について、調査しようと、高松市教育委員会と、日本語支援グループ「わ」の会にヒアリングに行ってきました。

まず、教育委員会へ。2時間ほど、指導主事や係長の皆さんに色々お話しお伺いできました。高松市では、母語を介した日本語指導者派遣の他に、民間のNPOに日本語指導を業務委託。こうした行政とNGOの「協働事業」は、行政の限られた予算での支援をより柔軟に行うためのひとつの画期的な方法だと思いました。外国人児童生徒への支援は、行政の枠での支援となると後回しになりがちな印象ですが、こうして民間NGOと行政が課題解決のために協力していくことができれば、きめ細やかな支援が実現するのでは。「わ」の会の代表の方とのヒアリングの中では、現場ならではの問題点や課題もあがりました。成果と合わせて、別府市にフィットする枠組みの提案の参考にさせていただきます。

ヒアリングの日、気持ちいい秋晴れで、瀬戸大橋からみる景色、最高でした!


2015年10月24日土曜日

日本語教育学会第7回研究集会@香川大学

日本語教育学会研修集会に参加してきました。たくさんの発表の中でも、桃山学院大学の友沢氏による「外国にルーツをもつ児童生徒学生の教育のあり方ー日本語、母語(継承語)、学力の面から考えるー」の講演を拝聴するのが一番の目的。平成26年度に行われた文科省の「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受け入れ状況調査」を多角的に分析、また、主に大阪府での具体的な支援の取り組み紹介など、とても濃い2時間でした。

研修集会のテーマになるほど、「子どもの日本語」の分野の研究が課題になってきているんだなと感じました。こうした課題への理解が徐々に広まって、具体的な支援に繋がっていけばと改めて思いました。
ところで、こんな看板が。讃岐弁って「ん」が語尾につくんですね~。別府弁と似ちょん!!

2015年10月21日水曜日

「風になりたい」

「明日、文化祭があるので、見にきませんか?」Yちゃんからの連絡、嬉しかったです!全部は見られなかったけど、Yちゃんのクラスの合唱と学年合唱、英語弁論をみることができました。Yちゃんのお母さんと一緒にみたけど、「最近、反抗期で・・・」と切なそうなお母さん。お母さんがカメラを向けると、ぷい!とあっちむいてほいのYちゃん^^; 学校では、おとなしくて、自分の気持ちをなかなか出せないYちゃん。きっと、お母さんにだけは、自分を思いっきりだせるんじゃないかなぁ。

「風になりたい」の大合唱、体に音が飛び込んでくるみたいで、トリハダがたったよ!

♪何ひとついいこと なかったこの町に 涙降らす雲をつきぬけてみたい♪・・・Yちゃんにとって、日本は天国でも楽園でもないかもしれないけど、大きな帆を立てて、風のようにそよいでほしいよ。

2015年10月16日金曜日

外国人児童生徒のための支援ガイドブック


最近読んだ本、『外国人児童生徒のための支援ガイドブック』凡人社 斎藤ひろみ著
様々な背景を持つ外国につながる5人の子どもたちの20代前半までの半生を、ライフコースとして描いています。学校で担任になった先生たちや支援している側は、どうしても、その子の「今」だけを見ていると感じることがあります。この学年が終わったら、また次の担任になって、課題も先送りに・・・
子どもたちのライフコースを念頭において、「これまで・今・これから」・・・文化や言語、アイデンティティー、学力、進学、就職など・・・多様な視点で子どもたちを見ていく必要があることを、教えてくれる1冊。支援に関わる人たちに是非手に取ってみてほしい本です!

2015年10月15日木曜日

JSL中学高校生のための教科につなげる学習語彙・漢字ドリル


今年の6月に出版された本です。タイトルに惹かれて買っちゃいました。『JSL中学高校生のための教科につなげる学習語彙・漢字ドリル』ココ出版 


初期日本語支援がある程度進むと、生活に必要な日本語ができるようになってきますが、授業や教科書を理解するために必要な学習言語をいかに、身に付けていくかが大きな壁になってきます。特に、非漢字圏の子どもには、漢字の学習語彙は学年が上がるにつれハードルが高く、くじけそうになります。
自宅での自習できる教材がほしいと言っていた中2のYちゃんに、紹介したいと思います。本当は、Yちゃん自身が日々の授業の中での学習語彙を集めながら、Yちゃんの母語訳を付ける自分だけのオリジナル辞書的なものを作っていけたらいいのだけれど。Yちゃんの学校での支援は終わっているので、時々会ってのアドバイス的なことしかできていません。

最近、この手の本(学習言語に注目した本)の出版が増えてきました。学校では、おしゃべりができるようになると(生活言語ができるようになると)、もう日本語ができるから、と誤解してしまう学校、先生たちに出会ってきました。こうした本が増えているということは、「おしゃべりができる=授業がわかる」ではないということが、周知されてきてるのかなと嬉しく思います。