2019年6月29日土曜日

13年もいたのに

今日は地球っ子わくわく広場の勉強会でした。今年度になってから休まず参加してくれる小学2年生のSくん。お母さんとお話しする中で、
「春までにはもう国に帰ろうと思って」

別府の大学に留学して、同じ中国からの留学生同士で結婚、出産。今年で別府に住み始めて13年だそうです。

「どうして帰ることにしたんですか。」

法改正のため永住権取得のハードルがあがったこと。そして、Sくんがどんどん中国語が話せなくなってきていること。街中でお母さんが中国語で話しかけると、「しー!」と恥ずかしがるようになったこと。中国語で話しかけても日本語で返してくるようになったこと。いろいろ気持ちを聞かせてくれました。

自我が芽生えてきたSくん、「周りと違う」ことが「恥ずかしい」と思うのかもしれません。

「もう今更帰国してもいい仕事探すの難しいかもしれないけど・・・。このままSが中国人じゃなくなるのはつらいから」

私はとても衝撃でした。
別府を好きになって根付いた留学生夫婦が一生懸命生活していて、大事に育てている子どもは、自分のルーツやアイデンティティを出せない環境であるということ。母語を守れない環境であること。いかに、この町が、学校が、社会が、多文化共生できていないのかということを、突き付けられたような気持ちになりました。

Sくんはこれから中国に帰って、読み書きする力をゼロから身に付けることになるでしょう。「日本にもどりたい」そんな風にも思うのかもしれませんが、Sくんの年齢では親の決断に身をゆだねるしかないでしょう。

わくわくでいつも笑顔で勉強し、おにごっこが大好きなSくん。制度の壁、文化の壁を乗り越えられる術は本当にないのでしょうか。