2016年9月15日木曜日

人権教育推進講座~外国人児童生徒の人権~

大分県教育庁人権同和教育課主催の「市町村人権教育推進講座指導者養成・指導者スキルアップコース」で、「外国人児童生徒の人権」について講義をする機会をいただきました。

こうした人権の講座に、外国につながりをもつこどもたちの人権がテーマとして取り上られるということは、つまり、その人権が守られていないということなのかなと、改めて思いました。

「外国人児童生徒に就学義務はない」とする国の方針のその上には、「全ての子どもに教育を受ける機会を保障する。初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする」という国際的な子どもの権利条約に日本は批准しているという事実があることは、学校現場には浸透していないというのが現実かもしれません。

日本では、外国人児童生徒の保護者が希望することによって就学が許可されるという不就学を可能としてしまう原則、つまり、就学の機会は、「権利義務」ではなく、「許可」「恩恵」として提供されるので、時として、その支援は、義務教育の日本の子どもたちよりも優先順位が下がり、「お客様扱い」的な対応になってしまうのかもしれません。

講義の中で、外国人児童生徒の保護者と担任の気持ちを体験してもらうミニワークショップを取り入れました。タガログ語で書かれた学級通信を配布し、担任役には日本語訳を見せ、日本語の通じない保護者役の人に、担任役の人が日本語を使わずに説明するというものです。

「タガログ語で書かれたお便りは、ちんぷんかんぷん」「内容はもちろん、これが重要なお便りなのかすらわからなかった」「一生懸命、絵やジェスチャーで説明されても、はっきりとは理解できなかった」「こんな理解できないお便りを毎日持って帰って来られたら、どれだけ不安だろうか」「読み書きできないということは、必要な情報が得られないということだということを実感した」色んな感想がでました。

「人権」というと、どこか、差別を彷彿とさせる、意識して守らなければ危険にさらされるというイメージを持つ人も少なくないのではないでしょうか。そんな「人権」という切り札をださずとも、当たり前に外国からの子どもたちが、当たり前に学校生活をいきいきと過ごせたらと願います。