2019年1月29日火曜日

母語の大切さ

今月、3人の子どもたちに対話型のアセスメントをする機会がありました。アセスメントには文科省が出しているDLAを使用しました。小学1年生がふたり、小学2年生がふたり。

3人に共通するのは、日本生まれ、または幼児期から日本で生活しているということ。両親が外国籍で日本語母語話者でないこと。3人とも、ちょっとおしゃべりしている分には日本語の困りが感じられません。

アセスメントの結果で共通していたことは、母語の語彙力がとても低いこと。日本語の語彙力のほうがはるかに高いという結果でした。それなら、日本語が上手になればいい、とおっしゃるご家族もいらっしゃいます。しかし、子どもの発達にとって、母語喪失が思考力に与える影響が指摘されるようになってきました。また、母語が確立している子どもほど、第二言語として日本語をより習得しやすいともいわれています。

そして何より、言葉はアイデンティティーに関わる重要な要素です。子どもが幼い頃には、親も、本人も日々の言葉の海を泳ぐことに精一杯で、5年先、10年先のことまで考えられないかもしれません。しかし、多言語、多文化間に育つ子ほど、大きくなって「自分は何者だろう」と立ち止まる日がくるかもしれません。

少し離れた立場であるからこそ、見えること、気づくことを、家族や本人に伝えるということも、日本語指導に関わる人にできること・・・おうちでは存分に親子で母語を使ってね、できれば母語で書かれた読み物を読んでね、そっとそばで、さりげなく、時にしつこく・・・アセスメントの結果を見て改めて、母語の大切さを伝えていきたいと思いました。