2019年10月28日月曜日

アイデンティティ

Hくんの小学校では一週間に1回、地域のボランティアや保護者の方による読み聞かせの時間があります。Hくんのお母さんに「読み聞かせしてみませんか」とお声かけすると、快く引き受けてくれました。きれいなベトナムのアオザイ姿でお越しになり、「息子にベトナムの服を着て
きてほしいとお願いされたので」と照れたような嬉しいような顔でおっしゃいました。英語で読むか、ベトナム語で読むか悩んでおられたので、是非、ベトナム語でと提案しました。「クラスの子たち、わからないでしょう?」と心配されたので、「わからなくても、絵を見て想像してもらったらいいと思うし、ベトナム語の音に出会う機会になったら」と言ったら、笑顔でベトナム語で読み聞かせしてくれました。クラスの中でベトナム語を話したことがないHくんの教室に響いたお母さんのベトナム語。お母さんの読み聞かせを聞いているHくんの誇らしそうな表情は忘れられません。普段なかなか意識することのない「アイデンティティ」、母語はその中でも大きい存在だと思います。クラスの子たちにとっても、いつものHくんと反対の立場を体験して(知らない言語に包まれるという体験)いろいろなことを感じる機会になったらいいなと思います。